くるくると愛くるしい大きな目が特徴のニホンモモンガ。リス科の夜行性の森林に棲む小動物で、本州・四国・九州の22府県で確認されています。
モモンガは主に標高300m以上に位置する山のなかで、針葉樹林、落葉広葉樹林、また両者の混合林の樹上で生活します。棲み家は、古木などでキツツキなどが開けた木の洞のなかで暮らしています。
智頭の山の中で働く林業家のなかには、杉の木の上の方で小動物が木の洞から出入りしている姿を伐採作業中に散見することもあるとのことです。
智頭町のなかで高地となる標高300m以上の位置する芦津地区では、10年以上前から地元住民と公立鳥取環境大学の小林教授(動物行動学)とゼミ学生さん達が、モモンガの保護と調査観察研究を続けています。
その研究成果の一つとして、モモンガは杉の木が大好き!であることが分かっています。
芦津地区には人工林の杉が高く大きく立木しているのですが、同地区は冬になると1m以上の積雪がある厳しい自然環境にあり、そのなかで元気にモモンガが棲み続けられているのは、杉の木の存在のお陰なのです。
この芦津地区は以前、雑木林だったところに多くの杉が植林され、標高等の立地条件も相まってモモンガが多く棲息しているわけです。
「カーペット」
モモンガは杉などの木にあけられた洞を住処にします。
その家の中には‟杉の皮”をカーペットとして敷き詰めています。杉の皮は武骨に厚いガサガサしたものですが、それを丁寧に繊維状態に近くまで割いてほかほかのものにします。その中で子育てをするとともに冬の寒さから身を守ります。
「食事」
モモンガは食べ物でも杉が大好物です。とりわけ、杉の葉っぱや雄花(花粉)が大好きなのです。ただ、杉だけではミネラルが不足気味になるため、雑木林の若芽を啄みます。
なので極端に云えば、彼らの生活は杉の木の上で全てが一切賄えるということです。
小林先生は、モモンガをこよなく愛する研究家であり、彼らの生活改善策?として学生と芦津の住民と一緒になって、モモンガの巣箱を作っては設置してあげています。